危険な愛を抱きしめて
「他のホストが、雪ちゃんに、何かとツラく当たったり。
 イジメようなんて、思うのは。
 雪ちゃんが、生意気だから、だと思うけど。
 もしかしたら、きっと。
 みんな『紫音』ちゃんが怖いからかもしれないわよね?」

「……オレが、怖い?」

 どんなに、腹立つことをされても。

 このクラブで、武術で鍛えた拳を使って、暴れたことはねぇ。

 思わず、クビを傾げると、ショコラは、言った。

「雪ちゃんが、ホストとしての技術をもっと身につけたり……
 ううん。
 最初の指名客をゲットして、流れを変えることが出来るだけでも。
 自分のお客様が全部。
 取られる、と思っているんじゃないかな?」

「まさか」

 いくら何でも、そんなことは、ねぇだろう、と。

 肩をすくめると、ショコラは、真面目な顔をして、言った。

「雪ちゃんて、顔だけじゃなく。
 仕草や、立ち居振る舞いっていうやつも、一々カッコイイからねぇ。
 実家がお金持ちだからかな?
 それとも。
 ダンスとか、空手とか、カラダを動かして、ヒトに見せる特技を持ってる?」

 一応、やってた古武術の説明をすると。

 ショコラは、なるほどねぇ、と笑った。
< 321 / 368 >

この作品をシェア

pagetop