危険な愛を抱きしめて
 

 ぱこん



 オレが、飲み終わったペットボトルを投げると。

 それは、キレイに弧を描いて、ゴミ箱に入った。

 オレをまねして。

 由香里もペットボトルを投げた。

 けれどやっぱり、由香里のヤツは、ゴミ箱を器用にそれた。

 オレより大分近いところから投げているのにも、かかわらず。

 由香里は、本当に、不器用だ。、

「……帰る。またな」

 落ちたゴミを片付けて。

 遠ざかろうとしたオレを、由香里はぐぃ、と引き止めた。

「待って!
 せっかく久しぶりにあったのよ!
 せめて、何で道場に来ないのかを教えて行って?
 突然来なくなって、皆も……あたしも、心配しているのよ!」

「……それは、道場の対抗試合が近いから、だろ?
 オレが居なくたって。
 由香ネェが、出場すれば、道場の面目は保てるはずだ」

「莫迦ね!」

 俺の言葉に、由香里の瞳が一瞬滲んだ。

「何で雪は、いつもそう、そっけないの?
 試合なんて関係ないわ!
 皆、本当に……雪、自身のコトを心配しているのに!」



 何で、コイツは。



 幼馴染、とはいえ、他人のことに、こんなに一生懸命なんだろう……?





 必死な顔に、くらりとココロが揺らぎかけ。





 立て直そうとして、驚くほど不機嫌な声がでた。

 



 


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