危険な愛を抱きしめて
「音雪さんって。
 あまりSEXがお上手ではありませんのね?」

「……紫音、です」

 オレが名前を正すと、さやかはふふふ、と笑いやがった。

「そうでしたわね、紫音。
 こんな風に、愛のないSEXをするのなら。
 恋人を抱くよりも、かえってもっと丁寧にしないと、お金になんて、なりませんわ。
 あなたのやり方では、キモチイイより、痛くって」

「……」

 さやかは、オレに一度眉を寄せてから、ほほ笑んだ。

「でも、まあ。
 あなたは、まだ若い上に、ホストとしてもかけだしですもの。
 こういったことが、あまり上手くなくても、当然ですわね。
 わたくしの誘いに素直に、乗ってくれましたし。
 何度も真面目に頑張ってくれましたから。
 約束通り、ボーナスは差し上げましょうね」

 言って、さやかは。

 ベッドのサイド・テーブルから、分厚い封筒を取り出すと、オレの手に押しつけた。

「……こんなに……!」

 中身を見てその、額に驚いた。

 オレが、本当に手に入れていいのか、迷っていると。

 さやかは、大したことは、ないわ、と笑う。
 
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