危険な愛を抱きしめて

「……」

 黙ったオレに、さやかは、矢継ぎ早に質問した。

「トランプなら、ポーカーや、ブラックジャックですわね?
 ……ルールを知らない?
 チェスは……?
 ……コマの動かし方も知らない?
 ……ダメですわね。
 もし、紫音が、顔だけの。
 何もできない、つまらない男でしたら、わたくしの見込み違いですわ。
 裸にむいて、街中に捨てさせますわよ?
 なにか、得意なものは、ないのかしら?」

 さやかの勝手な言い草に、オレは、呻くように言葉を紡いだ。

「数学や、英語なら。
 何もしなくても、誰にも負けねぇ自信がある」

「あなたは、お莫迦?
 その、どこが楽しいの?」

「古武術を使えば、まず、オレと戦って勝てるヤツはいねぇし。
 最近は、ケーキの焼き方を覚えた」

「わたくしの欲しいのは、ボディガードではございませんわ。
 それに、甘いものは、嫌いなの」
 
 ……やっぱり、街中に捨てていこうかしら、と。

 首をかしげるさやかの目は、マジだ。

 オレは、あわててプレイルームを見渡し……他に出来ることを一つだけ見つけた。
 
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