危険な愛を抱きしめて
「……っ!」
オレを掴んでいた由香里の顔が紅くなり……そして、青ざめた。
相当、怒っている、らしい。
今までのパターンだと。
「悪かったわね!
関係ないのが色々口出しして!」
とでも言いながら拳の一つは飛んでくる。
今回もそうかと、オレは、反射的に身構えた……のに。
由香里はただ、黙って掴んでいたオレの腕を放しただけだった。
「由香ネェ?」
「雪の莫迦」
「……何だよ」
「こんなに!
こんなに心配しているのに!!!
もう知らない!
あたし、雪のこと嫌い。
大嫌いよ!」