危険な愛を抱きしめて
「やめろ!
 もう、止めさせてやってくれ!」

 オレの願いのこもった絶叫に、薫は、首を横に振った。

「ダメだ……!
 今、止めさせたら、由香里は、必ず死ぬ……!
 だけども。
 もし、処置が上手くいったら、また由香里は生きられるんだ!」

「治療法もほとんどない。
 致死率がほぼ100%の病気だって言うじゃないか……!
 ここで、生き延びて一体どれくらいもつんだよ!?
 一日?
 一時間?
 そして、また具合が悪くなったら、あれ、をやるのか?」

 オレの言葉に、薫がぎらり、とにらんだ。

「音雪は、由香里に『死ね』といっているのか……!」

「ちがう!」

 オレは、叫んだ。
 
「……残り少ない時間を、なるべく静かに、穏やかに。
『生きて』欲しいんだ……!」

 




 
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