危険な愛を抱きしめて
オレの目の前に広がる未来(さき)が。
闇なのか。
それとも、わずかにでも、光があるものかなんて、判らなかった。
けれども、オレはこれから先。
胸にぽっかり開いた、穴を抱きしめて、走るしかなかった。
埋まらない穴は。
積ってゆく不安は。
忙しくしていれば、きっといつかは埋まり。
解消してゆくものだと、信じていたかった。
由香里……
たった一人で逝ってしまった由香里の人生の分まで。
オレは、生きていこうと、思った。
前を向いて、なるべく。
笑いながら。
<了>
H21.8.13 am2:21