危険な愛を抱きしめて
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思ったより、ぐっと照明を落とした部屋だった。
ほの暗い明かりに照らされて。
アンティークらしい、高価な調度品や家具が割と無造作に置かれているのがわかる。
キャビネットには、幾種類もの酒が並び。
部屋の奥にはシャワールームもあるようだ。
そんな妖しい雰囲気の場所に、薫と二人、ソファーに腰を下ろすと。
ヤツが、にやり、と微笑んだ。
「図書館行きの名目で。
一体、どこに連れて行かれるのかと思えば。
……大分可愛い、願いじゃないか」
「……うるせえな」
薫を睨んでいるうちに、黒服の男が、オレたちに近づいて来た。
「……村崎さま。
それでは、お二人で、どうぞ」
黒服のあとに続いて、立ち上がるオレに従って、薫は、片目を瞑って言った。
「せいぜい、お手柔らかに、頼むぜ?
……初心者相手に、本気で攻めるなよ?」