危険な愛を抱きしめて
「まあな」

 薫の、もっともな意見に、オレは肩をすくめた。

「さっきも言ったように。
 オレが、親父に言い渡されたのは。
 別に、ビリヤード禁止令ってワケじゃない。
 外出そのものが、アウトなんだ。
 ……特に、単独では」

「だから、それが良く判らない………」

 薫が、言いかけたときだった。

 出入り口から、最高級のプール・バーには、どうしても似合わない集団がやって来る。

 それを見つけて、オレは、ため息をついた。

 今日のオレは、とことんツイてない。

 闘うか?

 それとも、見つからないうちに退散するか。

 ちらっと迷っているうちに、向こうの方もオレを見つけてしまった。

「やあ、世話になったな、兄ちゃん。
 今度は、デカイお友達連れか?」

 派手なシャツに似合わない、顔の絆創膏が痛々しい男が。

 こりもせずにオレをからかった。

 さっき、由香里にやられたヤツだ。

 オレは、ふっと小さく息を吐き。

 そして、腹を決めた。





 
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