危険な愛を抱きしめて
「……音雪?
音雪!?
……大丈夫か?」
「……ああ」
……ここはどこだ。
薫の声が遠く感じる。
それに、辺りはやけに暗かった。
どこかの路地か?
……しかし……
「音雪!
本当に大丈夫か?
顔色がまっ蒼じゃないか……!」
まるで。
薫の言葉が引き金になったかのように、自分のカラダがぐらりと傾いた。
そして。
……あ
と気がついたときには、地面がすぐ目の前に迫っていた。
……ずしん
重く鈍い音は、自分が倒れる音。
それを人ごとのように聞いたとき。
世界が完全にブラックアウトした。