危険な愛を抱きしめて
「由香里!」
オレは、掛け布団をはねのけると、寝ていたベッドから飛び起きた。
ここがどこだか判らない。
しかし!
窓から見える風景は、空ばかりだった。
どう見ても、ここは二階以上のように見える。
そんな所から落ちたら!!
「……つっ!」
慌てて、窓辺にかけ寄ると。
鋭い痛みに、オレの腕に点滴が入っていることに気がついた。
その、針が抜けた。
赤い血が、真っ白なシーツに滴ったが、今は、それどころではなかった。
「由香里!!」
飛び起き、叫んで。
窓枠に、手をかけたとたん。
また、世界が回りかけた。
「く………そ……!」
こんな………!
たったこんなことで……!
窓枠に捕まって、めまいをなんとかやり過ごし、オレは、もう一度、叫んだ。
「由香里………!」