危険な愛を抱きしめて
「お前……
 ……一体、何を。
 どこまで。
 そして、いつから知っていたんだ!?」

 オレの半分はだけた。

 シャツの襟首をつかんで、揺する薫に。

 オレはなんとか、微笑んでみせた。

「……多分、全部……
 ……初めから……」

「……莫迦なヤツ……!
 では、さっきのコーヒーも!?」

「……入っていたな……
 薬入りの……飲み物は……美味くない……
 ……由香里が死んだのに……
 ……なぜ、入れたのかまでは。
 ……さすがに……判らないが……」

「莫迦」

 薫から、謝罪の言葉は無い。

 しかし。

 薫は、頭を下げるように、目を伏せた。

 
< 6 / 368 >

この作品をシェア

pagetop