危険な愛を抱きしめて
 由香里の色白な顔が、ぱぁっと赤くなる。

 由香里は……怒っているようだった。

 悲しんでいるようだった。

 そのカラダ一杯を使って、由香里は、叫んだ。

 オレに向かって。

「雪なんか!
 カッコつけているけど、ただ怖いだけじゃない!
 自分の後から追いかけてくる『死』をきちんと見ないで、見せかけだけのカッコ良さを手に入れようとしているだけじゃない!」

「うるさい!!」

 由香里の言葉は。

 俺のココロをぷちっと踏んでいった。

 由香里の言っていることは正しい。

 だけども、それは。

 オレがどれだけ弱いヤツかの証明みたいで。

 すごく嫌だった。


 なのに。



 由香里の言葉は、更に、オレを追い詰める。


「雪の大莫迦っ!!
 弱虫!!!
 そんな風に、一人ナルってればいいのよっ!
 みっともない!」



 
 




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