危険な愛を抱きしめて
「莫……迦……!
 お前まさか!」

 まともに顔色を変える薫に、オレは、微笑んだ。

「……慌てるな。
 今日は……せいぜい……いつもの三倍位だ……
 さすがに……それでは……死ねない……だろう?」

「いや……しかし!
 今、お前に薬を追加していたら!
 何が起こったか、保証が出来ない量だ……!」

 薫は、オレの肩を両手で掴んで、うつむいた。

「……俺は。
 お前に、そこまでのリスクを払わせる、気はなかったんだ……!」

「……リスクを払わせる……?
 ……いや……
 オレは。
 今まで……自分の……したいことを。
 勝手に……やって来ただけだ……」

「……しかし……!」

 なおも言い募る薫に、オレは溜め息で応えた。


 
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