危険な愛を抱きしめて
 

「……え!?」


「あたし達、二人。
 どちらも、潜在的に、病気を抱えているって。
 発症する可能性は、低いし。
 発症しなければ、一生普通に暮らしていけるけれど……
 ……もし、症状が出たら……まず、助からないって」

「……!」

 驚いて、声も出ないオレに、由香里は、微笑んだ。

「症状についてもね。
 前に叔父さんから説明してもらっていたから、多分、間違いないの。
 本当は、何かあったら、すぐ叔父さんに話さなくちゃいけない約束だったけど……
 ……無視しちゃった」

 いたずらが見つかったときみたいに。

 由香里は、オレに。

 ちょっと舌を出しておどけてみせた。

「本当はもっと動けなくなるまで、一人で黙ってがんばる予定だったの。
 さっきも、本当は。
 窓際に座っている雪に手を振って、一人でお茶会するつもりだったんだけど……
 ……だめね。
 ……雪見たら、案心しちゃって……
 大丈夫だと思っていたんだけど……不安な気持ち……聞いてほしかったのかも知れないわ」

「由香里……」

 口元では、気丈に笑っていても。

 由香里の瞳は揺れていた。








 今にも、泣きそうに。

 
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