そら
憧れの女の子
☆
出会いは高校2年の春だった。
1年前と変わらない。
同じ席に、女子しかいないこの空間。
そんな私の背中をつん、とつつく人がいた。
「え?」
「ねえねえ。茜ちゃん。
委員会、何にするか決めた?」
それまで誰も視界に入れなかった私に、
この少女はとても強く、
そしてとてもすんなりと目を向けさせた。
力強い目に、透き通るような声。
ドキドキとわくわくの、
期待に満ち溢れた表情。
真っ白い肌がとても綺麗で、
同性の私でも目を見張るほどの美しさ。
なんて言ったらいいのかな?
それは多分、恋心にも似た憧憬。
こんなに可愛い女の子が、
どうして私なんかに声をかけたの?
第一印象はそんな感じ。
そうして不思議だったの。
「えーっと・・・まだ決めてないや」
ぎこちない笑顔がひきつる。
ほんとに。
私って友達づきあいが下手すぎる・・・。
すごく打ち解けやすく声をかけてくれたのに、
そのチャンスすら台無しにしちゃう私。
ドジって言うかどんくさいって言うか・・・。
「じゃあ次の係りは―」
「はい!やるやる!」
私の後ろで勢いよく手を上げたのは、
紛れもない彼女だった。