そら
ねえ、教えて。
私のこと、どう思ってる?
卒業したら、
あなたの中から私は消えてしまうの?
そんな不安をいつも抱えていた。
だけど私には、
彼女にそんなことを聞く勇気すらなかった。
聞いてしまうのが怖かった。
戸惑ってしまうだろう
彼女の困った姿を見たくなかった。
実はこんなに強く思っているのは
私だけなんじゃないかって、怖かった。
だから少し寂しかったの。
進路もみんな決まって、
学校に来る事もなくなった2月の末。
家にいても何をしていても、
考えるのは彼女のことばかり。
もうあの素敵な絵を見ることもできないの?
私の物語を、面白いと言ってはもらえなくなるの?
そのまんま、私は高校の卒業式を迎えた。
現実から目を逸らしたくて、
逃げるように足早に校門を出た私。
涙が出た。
寂しかった。
それすら告げられない自分が情けなくて、悔しかった。
だから私は決めた。
口には出来ない思いを小説に書き換えて、
手紙を送ったの。
名前は出さないけれど、
彼女ならきっと分かってくれる。
自分のことだって、気付いてくれる。
私の思いを、受け止めてくれる。
私はそう信じてた。