そら
大学を休学して、地元に戻ってきた私を
一番最初に迎え入れたのは音璃亜たちだった。
何があったのかは、誰も聞かない。
それが彼女たちの優しさだった。
話してくれるまで、待ってるよ。
そう言われている気がして、切なかった。
だけど変わらずいつも通りに振舞ってくれる彼女たちのそばにいて、
私は少しだけ元気になれた。
みんなといる間だけ、忘れられた。
楽しい時間っていうのはすぐに終わってしまう。
帰り道は音璃亜と私の2人だけだった。
時間つぶしにお店を見て回りながら話をする。
音璃亜とこうして2人だけっていうのは
なかなか珍しくて、私はその時間が楽しかった。
「あ、ねえねえ、これ可愛い」
「ほんとだ。音璃亜のイメージカラーは青かなぁ?」
「ほんと?これさ、御揃いで買わない?」
「おそろい?」
私でいいの?
ふいにそんな考えが浮かんだ。
だけど音璃亜は嬉しそうな顔をして、頷いた。
「うん!これさ、次会う時につけてこようよ」
「うん。絶対つけてくる!」
それはちっちゃなピアスとイヤリング。
同じ柄のものを、御揃いで。
誰かとお揃いなんてあんまりないから、嬉しかったの。
音璃亜から提案してきたことが、私は嬉しかった。
卒業したのに、不思議。
私達は高校の延長のように、
仲良く、楽しい時間を過ごせてる。
ううん。
高校の頃よりずっと、ずっと。