そら
「私今、実話の小説を書いてるの。
読んでくれたら嬉しいな」
帰りの車の中で、私は音璃亜にそう告げた。
「読む!絶対読む!」
「ありがとう」
「あのさ、私今さらなんだけどさ。
私たち、名前一緒だね」
「え?」
「ほら、ペンネームがさ、
“そら”って同じじゃない?」
「あ・・・」
そういえば・・・。
彼女が絵を描く時の名前も、
私が小説を書く時の名前も、
同じ“そら”という一つの名前。
気付かなかった、
というより、自然だった。
そうか。
こんなところに繋がり、見つけた。
私たちは、対のような存在。
彼女の“そら”に込められた思いを、
私は知らない。
だけど彼女には
その名前がよく似合うと私は思った。
そうして私は、よりこの名前が好きになった。
私の誇りだった。
彼女と。
憧憬の思いを巡らせた彼女と同じ名前を謳うことは、
何よりも誇りだった。
“そら”
その名前には、
私のこれまでの4年間の思いが込められてる。
「本当だ。同じだね」
彼女との繋がりを見つけた私は、
最高の笑顔で笑った。