そら
えっと、
名前は確か珍しかったような・・・。
「じゃあ音璃亜に決定。次の係りは―」
先生がスムーズに委員決めを進めていく。
そう。そうだ。
このとんでもなく可愛い子の名前は音璃亜(いりあ)。
クラス替えの発表がされてからずっと気になってた名前。
どんな子なんだろうって、
一際目立つその名前に、私は惹かれていた。
友達になれるかな?
仲良くしてくれるかな?
私から声をかけても、
彼女は笑って答えてくれるのかな?
恐る恐る後ろを振り返ると、
音璃亜は別な子達の輪の中にいた。
・・・やっぱり。
私とは正反対な女の子。
人の輪の中に自然と入れる、
私には到底真似出来ないタイプの子。
ダメ。
私はその中には入っていけないのよ。
深くため息をついた私の耳には、
楽しそうに笑い合うみんなの声が聞こえる。
その声を何となく聞きながら、
私はカバンの中からルーズリーフを取り出した。
黒色のシャーペンをカチカチと鳴らし、
紙の上にペン先をトン、と置く。
ふいっとドアの向こう側に視線を泳がすと、
いつものように降ってきた。
もう1人の、私が。