そら
高校2年生っていうのは一番の思春期じゃない?
緊張とわくわくでいっぱいの1年生でもなく、
少し先を見据えて努力をしなくちゃならない
受験期の3年生でもない。
わりと自由で、羽目を外しやすい年。
例外なく、私だってそうだった。
授業はほとんど聞いてないし。
何をしてたかって?
全部の授業が私の創作の時間。
物語を書くのはつまらない授業を聞くよりも楽しい。
先生の固い授業の話をただ耳にして、
黒板に書かれたものをただ写して。
勉強してもしなくても
身につかないのなら好きなことを。
そんな甘い考えの持ち主は私。
私はじっと隅っこで1人。
目立たず生きてきた。
教室の端っこからみんなを見渡す。
そうすると見えてくるのよ。
仲良さそう。
だけど私は知ってるの。
女って、怖いくらい取り繕うことが上手いのよ。
ちょっと笑顔を見せて、話を合わせれば簡単。
みんな、同調を求めて群れてしまう。
内に秘めた本音を隠しながら。
あるいは誰かと共有しながら。
誰にも聞かれてないから大丈夫、
ってみんな思うのよ。
ごめんね。私が聞いてたよ。
いないと思ったでしょ?
私だってそこにいたのよ。
みんなが気付いていないだけで。