そら



だけどね、あの子はどこか違った。


私の憧れた彼女。
音璃亜はどこか違ったの。


違って見えていたの。


あくまでも、私から見た感想だけれど。


彼女は涼しげな顔をしていて、
どこか怖かった。


憧れてはいたけれど、
近寄りがたい何かがあったの。


彼女は違う。私とは違う。


彼女の周りに集まる人たちも、
彼女の纏っているオーラも、全部違う。


私とは何一つ似通ってなんかいない。


彼女は何を考えて、どんなふうに笑うんだろう。


何に怒って、何に悲しむんだろう。


彼女の心の中の表情が、私には見えなかった。


他の人なら安易に予想できるのに、
彼女の心は見えなかった。


音璃亜も、周りの子と一緒かな?


裏の顔と、表向きの顔があるのかな?


涼しげな表情だけれど、
心の奥底では何かを感じているのかな?


自然と彼女に目がいってしまう。


そんな時に耳にしたわ。


彼女のはきはきとした意見を。


私はこう思う。とか、
それはなんか嫌だな。とか。


遠慮がちではあるけれど、
しっかりと自分の気持ちをみんなに伝えていた。


そんな時私は思ったの。


ああ、この子は違う。


愚痴や中傷なんかで盛り上がる
そこら辺の女の子とは違う。


だから彼女の周りには、人が沢山集まるのね。


私はそう思った。


そう思った瞬間、
また胸がきゅうってなった。


一体どこまで、
彼女は私を惹き付けるんだろう。


どうして私はこんなにも、
魅せられるんだろう。



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