そら
途中までの未完成な物語。
だけど音璃亜は読み終わった後、私に笑いかけた。
「続き読みたい!すごいよ茜ちゃん!
文才があるんだね!知らなかった!」
「全然文才なんかないよ・・・!
でも、ありがとう」
「実はね、茜ちゃんの小説とは違うけど、
私・・・漫画描いてるんだ」
「漫画?うそ、読みたい!」
「ちょっとしか出来てないんだけど・・・
良かったら読んでくださいな」
そっと手渡された青い小さなノート。
私はそれを手に取ると、
ゆっくりとページを開いた。
「わぁ・・・」
そこに広がる、絵の世界。
昔お姉ちゃんと一緒に
遊びで描いていた漫画とは全然違う。
少女マンガや少年漫画で見るような、
綺麗な絵。
鉛筆なのに、すごく魅力的な絵。
その絵を見たとき、私はようやく理解した。
ああ。
だからこの子は違ったんだ。
他の人にはない個性が隠れていたから、
違って見えたんだ。
この子は、人を惹きつける術を知っている。
それは無意識に、この手の中に。
見つけた。
この子の魅力。
この子にも、
別な世界が見えていた。
そうして私は出会った。
言葉と絵の、
交じり合うカラフルな世界を見た。