私は先輩の浮気相手。
母さんが出て行った後、ベッドに寝転んだ。
「…泣きそうだったな、かすみ」
周りにいい奴等がいてよかった。
俺、演技上手でよかった。
「…はは」
なのに。
かすみの傷つく顔を見た後、俺は泣くのを堪えるんだ。
見られないように、他の女の所に行くフリをして隠れる。
かすみが教室に戻るまでに涙を止め、別の女のとこに行く。
完璧だよな。
誰にもばれねぇよな。
―何がかすみの浮気している姿が、好きなんだよ。
自分で言っておいて、後々泣けるんだけど。
そんなんすっげぇ辛いよ。だけど―。
嘘だ、なんて言えないから――。