私は先輩の浮気相手。
先輩は相変わらずニコニコしながら、
ピアノを弾き続ける。
「まぁ、小さい頃色々やらされてたんだ」
「へぇ……先輩の小さい頃ってどんなんでしょう?」
「んー…」
その時先輩のケータイが鳴る。
「あ、ちょっとごめんね」
「はい」
ピアノの音が聞こえなくなると、部屋は一気に静まり返る。
「ちょっと行ってくるから、かすみちゃん、また後でね」
「…はい」
駆け足で出て行った先輩を見送り、ピアノの前に座る。
目を閉じて、ピアノに触れると、懐かしさがあった。
あたしも小さい頃は、親に言われ、ピアノを習ったことがある。