私は先輩の浮気相手。
酷く悲しげで、気づくなって顔してる。
ぐにゃりと歪む顔は、きっとあたしも同じ。
「こ、これ?
昔事故ったんだよ。それの傷だけでさ。
もう痛くねぇ、ぜ?」
明らかに変なしゅう。
その瞳をじっと見つめれば、逸らされてしまう。
「だから…大丈夫なんだよ。かすみ」
「しゅうっ!あたしを…好きなら本音で言ってよ…」
パタンと部屋から出て行ったしゅうの背中に、またあたしの声は届かなかった。
涙がまた溢れてしまうのは。
きっと。
しゅうの嘘を知ってしまったから―……。