私は先輩の浮気相手。
ふぅ、としゅうは息を吐く。
「少し抱きしめさせてくれ」
「……しゅう」
「もう…お別れ言いに来たって分かってるから」
「…うん」
キツく抱きしめられて。
涙は止まらなかった。
「しゅう……、好きだったよ」
あたしからしゅうを突き放す。
もうこのぬくもりは、今日からあたしのものじゃない。
そして、あたしのぬくもりも。
もうしゅうのものではなくなった―。
その手に触れようとしても。
今からは触れられない。
猫っ毛な髪にいたずらしたくなっても。
もう出来ない距離になるんだ。