私は先輩の浮気相手。
だけどその声が、寂しそうだったのを、あたしは気づかなかった。
「ねぇ、かすみぃ?
明日のマラソン大会、別々でいい?」
「珍しいじゃん。どうした?」
「女の子のヤツ来ててさ…」
「あぁ、分かった。辛くなったら、休むんだよ」
「うん、ありがと」
少し元気ないのは、そのせいだったか。
そっか。
明日はマラソン大会かぁ…。
めんどくさいな。
去年は見学しちゃったし、今年もしちゃおうかなぁ…。
「ねぇねぇ、男子1位の人と、女子1位の人って、デート記念が付いてくるんだよね?」
クラスメートの声がふと聞こえた。