私は先輩の浮気相手。






先輩の腕、隼人よりも逞しい。

なのにその心は小さい。




「馬鹿なこと言わないで下さいよっ!


うちはかすみと小さい頃からいるんですよ?!

かすみを傷つけたくなんて…」



ふわりと先輩の髪が、うちの頬に触れる。




一瞬時間が止まった気がした―。





「…かすみちゃんには悪いと思ってる。


でも俺がこうやってキスするのは、唯だけなんだよ?」



そっと離れた唇は、切なさだけを残した。



「先輩なんて……大嫌いです」




キッと睨んでも先輩は、悲しげな瞳をするだけだった。



< 152 / 329 >

この作品をシェア

pagetop