私は先輩の浮気相手。
強引で意地悪で。
馬鹿で。
中学校の時は優しくて。
笑顔がかっこよくて。
なのに嘘つきで―。
「ほっといてよ……」
「…ったく。かすみがそんなんだと、俺まで辛いんだよ」
しゅうがあたしの手を握り締めた。
「まだ後ろの人は来ねぇから、ゴールまで走ろうぜ。
今立ち止まったら、俺抱きかかえるけど」
「え、いや、それは」
「じゃあ立てよ、かすみっ」
強い声にあたしの足は、立ち上がっていた。