私は先輩の浮気相手。






しゅうとまた走り出すと、不思議と苦しくなかった。



「…かすみ。


俺は傍にいてやっから」




少し意地悪そうに笑うしゅうに、

また泣きそうになる。




「あたし…しゅうに出会えてよかったって、

今思う」



びっくりした顔をするしゅうを、今度はあたしが引っ張る。




「ゴール、早くしよう。しゅう」


「かすみは相変わらず、ずるい」





耳まで赤くするしゅうに、少しだけ笑ってしまう。


「てめぇ…笑ったな」


「ふ、ふふ。だって、しゅうってばおかしいんだもん」




無邪気に笑う、あの日が帰ってきた気がして、嬉しかった―。


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