私は先輩の浮気相手。
かすみちゃんは抱きしめていた事に気づいて、パッと離した。
少し頬が赤くして、視線を逸らしたまま。
「唯との過去…聞く?」
俺がさりげなく言うと、かすみちゃんは小さく頷いた。
「ちゃんと全部知っておきたいです」
「そう言ってくれると思った」
この遊園地に、俺らの過去は全てあったんだ。
そう―。
10年前の今日みたいに、快晴な日だった。
「あの日はとても暑くて、まだ春が終わったばかりっていうのにさ…。
それでウォータージェットコースターってヤツに乗ったんだ」
俺が話し始めると、かすみちゃんは静かに聞いてくれた。