私は先輩の浮気相手。






「っ……」



唯を掴んだのはいいけれど、もう腕が引きちぎれそうだ。

それにまだ動いている。




トンネルが見えてきた。



ぐっと手に力を込めて、何とか唯を引き上げた。




「ゆ、い……大丈夫…?」



慌てて駆け寄る大人たちを無視して、唯を見る。


俺の視界に広がった赤いものは、すぐに何かは分からなかった。




「唯……?」



「……だい、じょうぶ…、とうま…助けてくれたでしょ…」



「おい!冬真、どうしたんだよっ!」


< 192 / 329 >

この作品をシェア

pagetop