私は先輩の浮気相手。






あのマラソンのときに。

まぁ、傷ついたけど。


俺の方が後々に出会ってるんだし。

これはきっと運命なんだろ。




「戻れば、唯。」



繰り返して言うと、動揺が隠せないのか、瞳が揺れ動いていた。



「俺が引き止めない理由、分かっていないなら、言ってあげるけど。」


「な、に…?」




本当に分かっていないなんて。

結構悲しいな。



もうそろそろで1年記念日だってのに。

ここでお終いか。



「唯が好きだから、本当に幸せだと思う所に行け、って言いたい。」



感情が見えない俺を、1度でも好きと言ってくれたのは、唯だけだった。



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