私は先輩の浮気相手。






笑うなんて反則。


なのに先輩は笑顔のまま、あたしの髪に触れる。




「今の髪でも綺麗だよ」


「……!!」


「照れたね」


「先輩の…馬鹿」



きっとあたし、顔真っ赤。

だって。

綺麗って言葉、あたし自身に言われてなくても、やっぱ嬉しいから。



「先輩、元気になったなら、どこか行きます?」


「んー…俺はこのままでいいよ」



「ずっと抱きしめられると、心臓…持ちません」



そっか、なんて言って、また笑顔を零す先輩。

その笑顔だけで、あたしが顔真っ赤にすること。


気づいているのか分からないけど。


本当にずるい人だ―。



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