私は先輩の浮気相手。
無表情なのは、いつものことなんだけど。
今日は少し不機嫌に見える。
「あの……隼人。
ちゃんと聞いて欲しいことあるの」
ちゃんと立ち向かうと、隼人は静かに頷いてくれた。
「うちが好きなのは...隼人だから」
「え。」
きょとんとする隼人。
うちは構わず、震える手を背中に回して隠す。
「先輩のこと…うち吹っ切れてたの。
あのマラソンの日、隼人がかっこよく見えてから…」
「じゃあ、唯は本当に俺を…?」
「うん…隼人が好き」
泣きそうになるのを堪えようとした。
でも涙は止まってはくれなかった。