私は先輩の浮気相手。
唯をぎゅっと抱きしめると、変わらない温かさがあった。
溜め込んできた涙が一気に溢れ出して、地面を濡らしていく。
「…辛かったよね?
報われない片思いなんて、辛いはず…。
確かにうちがいたせいで、かすみは先輩と結ばれないんだわ…」
「唯っ、それは違う!
あたしは…唯が大事なのに…、好きな人の事になると、周りが見えなくなって…。
自分が怖いよ...」
「かすみは怖くなんてない!
温かい子じゃんか!
うちと先輩のこと知っても、先輩を嫌いにならなかった。
それほど思いが強いって分かって。
先輩への思いが吹っ切れたのよ?
かすみのおかげ!」
ニッと笑ってくれる唯は、本当に先輩を吹っ切っているみたいだった。