私は先輩の浮気相手。
ぎゅっと抱きしめると、先輩の心臓の音が聞こえる。
いつもの落ち着く一定な音―。
「少しくらいドキドキして下さいよ」
「かすみちゃんといると、いつもドキドキしてるけど?」
「じゃあ何で…余裕そうなんですか?」
「何でって...、かすみちゃんの照れ隠しな顔見てる方に、気が取られちゃってたからかな」
「!」
「いつも見破るときって、そうやって驚いた顔するね」
「いつの間にドSになったんですか...」
「かすみちゃんに夢中になればなるほど、Sになっちゃうかも」
「……鬼です」
フ、と微笑んだ先輩は、あたしの頬にキスを落とした。