私は先輩の浮気相手。






しゅうはまた作業に取り掛かっていた。

あたしは眠たくなって、いつの間にか机に伏せてしまった。






「なぁ、アンタかすみと先輩のこといいわけ?」


「あ...ううん。ほんまは嫌やったけど..。

何か吹っ切れてるかもしれんねん」



「ふぅん?

唯と和解すんのはむずいけど、かすみとは出来そうだな。

アイツいいやつだから、苛めんなよ」



「い、苛めへんよっ...!!

ちょっと羨ましい思ったけど.....」



「しょーじきなヤツ」


「しゅう君、助けてくれたから…」


「あ?」



「だから、廊下でぶつかったとき、ブレスレット壊れちゃってさ...」



「あー、そんな事あったな」




あたしは2人の会話をこっそり聞いていた。

しゅうが離れていくのを、少しずつ感じていて――。


弟を手放した気分で、寂しくなったなんて、秘密だけど―。

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