私は先輩の浮気相手。
「どうしてあんな笑顔を…?」
「俺は誰にでも笑顔を見せれば、すぐに落ちてくれると思った。
例え笑いたくない状況にいても…。
だから馴れちゃって、自然と笑うようになっていた。
嬉しくなくても笑ってたし。
そしたら女の子の中で、誰にでも優しくするチャラい先輩ってなってた。
だから俺も彼女いたら寂しくないし、別にチャラくなってもいいと思った」
うな垂れるように、先輩は俯いた。
あたしはその先輩に、そっと触れる。
「……俺、分からないんだ。
何が好きで恋か…って」
先輩の腕があたしの背中を包んだ――。