私は先輩の浮気相手。
「おいで、かすみちゃん」
先輩の髪が、風で少し揺れる。
その瞳は嘘なんてなくて。
ただあたしを受け入れようと、腕を広げてくれている。
「……っ」
その胸に抱きつくと、キツく、苦しいくらいに抱きしめられる。
涙がぼたぼたと零れ落ちて、先輩の服を濡らしていく―。
「明日…ちゃんと彼に聞いてみな?
転校しちゃうんでしょ?」
「…はい」
「それで彼を振って、俺の浮気相手になって、一緒に暮らそう」
「はい…え?」
「浮気相手になれば、かすみちゃんは最後傍にいれる。
結局は漫画だってドラマだってそうでしょ?
それに今他の子と別れたら、かすみちゃんに危害を加える人がいるかもしれない。
だから、浮気相手ね?」