鈴木くんと彼女の不思議な関係
「ふふっ。」
隣で清水が笑うのが聞こえた。
「多恵、すごく緊張して、泣きそうな顔してる。ダンスは悪くないけど。大根ね。」
「そうだな。」
突然、清水が驚いたような顔でこちらを向いた。
なんだ?何かおかしいか?
清水は優しく笑って、俺の頬に触れる。俺が避けると、またすぐ舞台へ視線を向けた。多分、泣きそうな顔してたんだな。俺。。
二つ目の物語が始まると、川村は席を立ち、そのまま戻って来なかった。氷のような無表情に、俺はかける言葉が見つからなかった。
頑張れ川村。多恵も神井も、みんな頑張れ。
それぞれの時間を、それぞれの想いを、まるごと抱えたまま、俺達の高校生活は刻々と流れ、過ぎ去っていく。今日のこの日もまた二度と戻らない。きっと舞台の上にいる彼等はそんなこと考えたこともないだろう。一年前の俺がそうだったように。