鈴木くんと彼女の不思議な関係

 年が開け、俺達は受験生としての日々に撲殺された。

 そんな中、バレンタインデーは登校日でなかったにも関わらず、机の中にも自宅にも、山ほどチョコが届いた。気持ちの悪い事に男からのものまであった。清水の受け取ったチョコは俺の3倍近くあったらしい。

 結局、清水は女優や女子アナを多く排出している、そこそこ名の通った都内の女子大に進学を決めた。俺は、福井の大学の医学部へなんとか滑り込んだ。

 サラリーマンの俺の家には、私立の医学部へ行く金はない。通える範囲の公立は偏差値が高すぎて手も足も出なかった。だから地方での進学は医学部を志した時から分かっていた事だ。

 卒業式も終わり、笠原と清水と一緒に進路の報告に学校を訪れた。大学に落ちまくって予備校に進学する予定の布施は、姿を見せなかった。

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