鈴木くんと彼女の不思議な関係
「キレイな顔だな。」
「知ってる。」
「可愛くないな。」
「それも知ってる。」
そっと抱き寄せると清水の匂いがした。清水の身体は、こんなに柔らかかっただろうか。
俺達はどちらからともなく、目を閉じて、唇を重ねた。温かな清水の身体の感触。柔らかく湿った唇。一度では足りなくて、二度、三度と、俺は彼女の唇をついばんだ。瞳を潤ませながら俺のキスに応じる清水は、本当に本当に綺麗だった。
彼女の顔を眺めながら、頬を撫でて聞いてみる。
「もしかして、あれが初めてだったりした?」
清水は答えず、イタズラな顔で照れ笑いをした。
「案外、可愛いな。お前。」
「今頃、気付いたの?」
俺達はクスクスと笑いながら、優しく抱き締め合い、そして離れた。
「俺、多分、お前が好きだった。」
あえて過去形を使った俺の決意を察して、清水は悲しそうに笑った。
「私も、あんたの事が好きだった。かもね。」
負け惜しみを。でもそれが清水らしい。
本当は、ずいぶん前に気付いていたよ。答えてやれなくて、ごめんな。