鈴木くんと彼女の不思議な関係
一度、その身体に触れてしまった俺に、もう誤摩化しはきかなかった。顔を会わせるたびに、もう一度、彼女を抱き締めたくなる。無意識にその無防備な身体に手を伸ばしては、自分で驚くという挙動不審を繰り返し、ついには彼女を見るだけで動悸や目眩までしはじめて、その衝動を抑える毎日に疲弊しきっていた。早く引退してこの苦しみから解放されたい。彼女に会うのが怖い。でも、本当は彼女を手に入れたい。その想いは日に日に強くなる。
「もしかして多恵と、なんかあったの?」
「。。。。。」
女って、どうしてこういうカンだけは鋭いのか。。
「告白ったとか?」
「告白ってなんかねぇよ。」
なんとも情けない声が出てしまったが、清水は意に介さず、質問を重ねる。
「告白しないの?」
「俺達はこれから受験なんだぞ。今、告白ったって。。。」
「そうだけど。。」
「告白はしない。」
顔を上げて言う。声に出すのは初めてだったが、男に二言はない。。はずだ。
「本当にしないの?」
「しない。」