鈴木くんと彼女の不思議な関係
校門を出た時だ、清水が後ろを振り返る。
「どうした?」
清水は答えず、いきなり俺の手を握った。
「なんだ?どうした?」
戸惑う俺を無視して、「ちょっと」と言いながら俺に顔を近づけ、耳元で囁いた。耳に生暖かい吐息がかかる。女の匂い。
「後ろ、柏の木の下にいる。」
清水のいう場所へ目をやると、薄暗闇の中、男子生徒が立っていた。俺達が立ち止まったからか、そいつも立ち止まっている。
耳元から顔を引いた清水は、今度は俺の顔を覗き込みながら顎に触れた。俺もすぐにこれはフェイクだとすぐに理解したが、細い指先はくすぐったくて、背筋がゾクっとした。
「触るなよ。知り合いか?」
清水の手を顎から払いながら尋ねる。
「知らない。最近よくいる。」
「ウチの生徒だが2年じゃないな。1年か?」
「多分。」
俺達が再び歩き出すと、そいつは少し距離をおいてついてきていた。
「ついて来てるぞ。」
「分かってる。」
言いながら清水は俺に腕を絡ませて来た。俺はそれを払って避ける。何度か繰り返しながら清水は媚びるように笑う。後ろのやつには戯れ付いているようにしか見えないだろう。