鈴木くんと彼女の不思議な関係
「もうやめて!」
清水がヒステリックな声を上げると、男はかなりショックを受けたようだった。やっと自分のしたことの異常さに気付いたらしい。思い詰めた瞳から今にも涙が落ちそうだ。
「スミマセン。」
「清水はウチの看板女優だ。よく知らない後輩に挨拶されたり、話しかけられるくらいは、慣れてるし、問題ない。だが、ストーキングは犯罪だ。」
「そ、そんなつもりは。」
「知り合いだろうとなかろうと、何度も後ついて歩くなんて、立派なストーカーだろ。」
「。。。スミマセン。」
男はうなだれて違う方面のバスに乗って帰って行った。
清水ももう少しフォローしてやれば良いのに、俺の後ろに半身を隠したまま、俯いて黙っていた。まあ、分からなくもないが。。
「もう少し、優しくしてやっても良いんじゃないか?」
「嫌だよ。気持ち悪い。男なんて滅びればいいのに。」
俺も一応男なんだけど。。心の中で思いながら、それも仕方ないかとため息が漏れた。だが清水よ、お前が本当の女優になったら、あんなのが日常茶飯事になるんだぞ。分かってるのか?