鈴木くんと彼女の不思議な関係
「そういえば、お前、3年に進級するのか?」
「する。」
「落ちたのか。」
「うん。」
「そうか。残念だったな。」
俺達はバス停に向かって歩き出す。
清水はこの春、関西にある宝塚なんとかいう学校を受験した。合格すれば入校、そして宝塚の劇団員までの一本道だ。去年も一度受験して落ちている。高校生の間は何度も受験できるらしいが、来年落ちたら後がない。
「来年も受けるのか?」
「もういい。大学受験と両立とか、絶対無理だし。」
「。。。いいのか?」
「うん。もう無理かなって。」
「そうか。。」
「試験、、なんか、すごいアウェーだった。みんな金持ち?じゃなくて、、なんだろ。本人より熱心そうなお母様がゾロゾロいて、母娘一丸っていうの?母親同士も元団員のレッスン受けてるとか、あの先生がとか、いろいろ話してて。私なんか関東から来た田舎者って感じだった。」
「そうか。」
宝塚へ入団したいと言う娘達が集まるのだから、それはレベルが高いだろうが、清水が田舎者に見えるとか、想像がつかない。