鈴木くんと彼女の不思議な関係
そう。女は面倒だ。ニョロニョロみたいにいつも群れていて個性も無いし、インターネットより複雑で有機的なネットワークで裏で全て繋がっている。まるでキノコだ。言うなれば清水はキノコのラスボスだ。あの冷たくも美しい顔で睨まれながら押し切られたら、並の男に太刀打ちできるはずもない。
だが俺は違う。いくら美人で眼力があろうと、演劇部で2年間、会議室で議論を戦わせ続ければ、慣れてくると言うものだ。
「女で美人なら何でも思い通りになると思うなよ。おせっかい女。」
普段はそりゃあ頼りになる看板女優だが、こういうところは本当に迷惑なババアだ。
鼻息荒く悪態をついた俺の目の前で、清水の頬がピクリとひきつった。目が般若のように釣り上がる。その目を見ながら俺はうっかり地雷を踏んだ自分を呪った。そう、「美人だから」は、清水の最大のコンプレックスだった。
数秒間の不気味な静寂のあと、彼女はなんの前触れも無く最強最悪のカードをきった。
「多恵だって女の子じゃないの。」
「なっっ。」