鈴木くんと彼女の不思議な関係

 試合の熱が去り、クラスで纏まって次の応援先へ向かおうとしたときだった。先を歩いていた鈴木の声が耳に入る。

「多恵~。俺の応援に来たんじゃなかったのかよー。」
見ると、鈴木は嬉しそうに多恵の頭を掴んで髪をグチャグチャと掻き回している。

「残念ー。違いまーす。」
 多恵も一緒に笑いながらじゃれている。何をしているのよ。この2人は。私は頭に血が上って、思わず2人のもとへ進み出ていた。

「ちょっと、多恵に触らないでよ。」
 鈴木が憮然とした顔をする。体育館中の視線が私達に集まるのが分かったけど、もう私は止まれなかった。

「ヘラヘラ笑ってる場合じゃないでしょ。多恵がまた怪我でもしたらどうすんのよ。」
「どういう意味だよ。」
「あんたフラレたんだから、いいかげん諦めなさいよ。往生際が悪いんだよ。」
「ばっ。。お前に関係ないだろ。」

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